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ブラックベアー

▼2002年 6月28日 (Fri) -- No.[416]

トレイルにはブラックベアーが頻繁に出没する。もっとも僕ら人間が彼らの生息地に足を踏み入れているのだから、動物を責めるのは間違いなのかもしれない。国立公園の人気が上がるのと伴い、世界中から訪れる観光客の不用意な食糧管理の裏側で、熊たちは本来の野生を忘れて人間が外部から持ち込んだ食べ物に目をつけるようになってしまった。これは熊と観光客、両者に取って非常に残念な事。熊は本来の生態を崩されて食べ物に困り、人間達はその熊から食料を守るかを真剣に考えなければならなくなってしまった。

人出が多いキャンプサイトには、熊には開けられないベアーボックスが設置されている場合が多い。一般的なキャンパー達はその鉄の大きな箱に食べ物を保管する。バックカントリーにはこのような設備は皆無に等しい。基本的に人工物をウィルダネスに設置する事は国立公園法で決められているのだ。ただし例外として、特に熊が出る確立の高いエリアには上記のベアーボックスや、食料をぶら下げるワイヤー等が張られている箇所もある。

バックパッカー達にとって、食料の安全な保管は死活問題。前の日記にも書いたフードキャニスターを持ち歩くのが理想だが、これはこれで重くて運ぶのに問題がある。それとは別にレンジャーに推奨されている食料の保管方法として、カウンターバランスと呼ばれるものがある。これはロープの両端に食料を入れた袋を括りつけ、中間部分を木にぶら下げてバランスを取りながら、食料を木に吊るす方法。地面から荷物まで3〜4メートルという高さ。だだ、仕掛けを作るのにかなり高度なテクニックを要するので、トレイルを歩いて疲れきった体で果たして僕に出来るのか不安でもある。このカウンターバランスは最善の熊対策だが、ヨセミテに生息する熊は学習能力が非常に高く、それでも食料を奪われるケースが急増している。複数の熊でやってきて一匹が他の熊の背中に乗って食料まで背を伸ばしたり、または木の枝に登ってから枝自体を噛み折り、落ちた食料を狙ったり。もうここまでされたらバックパッカーにはどうしようもない。

基本的に熊は臆病な性格なので、人を襲う事はまずない。食料を取られる被害は増えているが、人が危害を受けるケースがほとんど報告されないのはそのため。彼らが欲しいのは食べ物だけ。もし熊に遭遇し食料を狙われたら、大きな声を上げて威嚇するか、食器類を打ち鳴らして熊の嫌いな高い音を出す。それから自分をなるべく大きく見せて石や小枝を投げつける。それで大抵の場合は平気らしい。もしも熊に食料を奪われた場合は取り替えそうとするのが一番危険。彼らは一度奪った物は自分の持ち物と考え、それに横槍を入れる物には凶暴になる。親子連れの熊も危ない。親熊は小熊を外敵から守ろうとより凶暴性を増すのだ。

熊の危険性を書いたけど、もっと危ないのがクーガーだったりする。彼らの出没は稀だが、熊よりも攻撃性と敏捷性が高い。それから蚊もすごい。長袖を着ていてもその上から刺してくる。蚊で人柱が立つというのは本当らしい。そんな野生動物に関して少し不安な気もするが、話しのネタになりそうなので一度くらい遭遇してもよいのかな。これはこれで楽しみ。

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