2000年 2月27日 (Sun)
「趣味は何ですか。」と質問されてみなさんはどう答えますか?
“Do you have a hobby?”
(直訳:あなたは趣味を持っていますか?)
中学校の英語のクラスで男女ペアになり、他の生徒の前で頬を赤らめながら受け答えするアレですね。そこで小学校にはない英語に興味を持ち始めた少年は思い切ってこう答えるでしょう。
「私の趣味はボーリングです。もちろん投げる方ですよ。」、ペアになっている少女は、
「私の母は、元さわやかリツコさんかもしれません。」、とその事実をひた隠しにしていた彼女にとって、千載一遇のチャンスに胸をときめかせながら答え、赤ちゃんはコウノトリが運んでくる、と今だ信じて疑わない純朴な少年を驚かせたりします。この年代では女の子に比べて男の子の方が精神的、肉体的に発育が未熟だと言われています。そして彼は自分よりちょっぴり大人びて見えるその少女に淡い恋心を抱くのです。
中学を卒業し、高校にあがると同じ質問をこんな風に聞かれます。
“What is your favorite pastime?”
(直訳:あなたが気晴らしにする好きな事は何ですか? )
少しだけ英語が高等になりましたね。するとボーリングにおける「究極のこすり」を、なんちゃってリツコさんから伝授された今、数年前まで胸を焦がして眠れない夜を過ごした情熱を、もはや同じようには感じられなくなった男子生徒は、
「私の趣味は、お菓子作りです。」、と女子生徒を気遣う余裕を見せ始めます。彼は新たな自分探しの旅にでようと自分自身を奮い立たせたのです。ただし深遠なアメリカンジョークの本質を理解するにはまだまだ程遠いですね。彼はこの後しばらく、誰もが経験する思春期特有の苦悶を経たのち、自らがその時犯した過ちに気がつくのです。この辺りは村上春樹がその読者に行間を読ませる「青春の光と影」ですね。
さらに大学生になった彼はこう聞かれます。
“In which illusionary world do you find truth?”
(直訳:あなたはどんな幻想の世界で真実を探し出しますか?)
必殺の「ロゴス」を用いて思わず小林秀雄が評論したくなるようなこの哲学的問いに、いつの間にか図らずもレシピを見ずに美味しいキッシュが作れるようになり、少しずつ大人へと近づいてきた青年は、何のためらいもなくこう答えるのです。
「オレ様はヘビーメタル、略してヘビメタの邪悪な世界に住んでるぜ。」しかしクールに答えたにも関わらず、ここへ来て高校時代の過ちにようやく気づいた自分がいます。そうだ・・・、キッシュをシーフードテイストにする時、生の海藻ミックスを使う場合は、塩分の強いものがあるので塩抜きしてから使うのだ・・・。
僕の趣味は音楽鑑賞です。
続く