French(高円寺)
最近良く行く美容院で(とは言っても2回目だが)、切ってもらいながら雑誌を手に取る。「東京なんとか」という都内の街を紹介するヤツで、それは僕が今住む街の特集であった。ぱらぱらとページをめくるとカフェのページが。
ぼーっと目を通していると美容師に突っ込みを入れられる。彼によると「ここはめちゃくちゃ頑固で怖いマスターがいる」との事。彼の知り合いが行ったところ、座っただけでその態度が気に入られず、コーヒーなど飲む気さえなくしたとの事。同様に寡黙で怖いマスターがいるコーヒー専門店で一昔前にバイトしていた経験を持つ僕としては、同じ街にあるそんなカフェを見逃すわけがない。そんなわけでさっぱりした後に直行。
駅の反対側にあるその店はすぐに見つかった。ビルの2階へと続く階段を登りドアをあける。ガタイが良く鬚面のオヤジが待ち構えている気がして緊張しながらドアを開ける。テーブルが5つくらいとカウンターの店内は比較的こじんまりとした様相。そしてすぐにマスターの風貌をチェック・・・。すると40台くらいで華奢、髪を後ろに束ねた細面のどこにでもいそうな中年である。これがその怖いマスターなのか?ブレンドを注文。じきにコペンハーゲンの器で運ばれてきた。彼の仕草をつぶさに観察。
しかし全然怖くもなんともなーい!彼を挑発するような態度を取れなかった僕が悪かった(良かった)のかな。しかし運ばれてきたコーヒーは、僕がこの街に移ってきてから味わったコーヒーで1、2を争う絶品であった。ここまで本来の味が出た濃いものは久しぶりである。嗅覚を喜ばせる芳醇な香りを楽しみながら、口先ですするとその渋み、苦味、酸味が絶妙のバランスを保ちながら口の中に広がる。生チョコレートをすかさず注文。美味しいコーヒーを最大限に楽しむには、それと正反対のスイーツが必要不可欠なのは今も昔も変わらないのだ。怖いマスターには巡り合えなかったが、コーヒーに大満足して店を後にできた。一度も行った事のない店に入り、そこで期待以上の何かに巡り合えるのって幸せだ。
ところで僕がそこを訪ねるキッカケとなった雑誌には、前住んでた街の記事も掲載されていた。そしてそこには僕が知っている煎餅やが。とても懐かしい。何を隠そうその店こそ、10年ほど前に僕が住んでたアパートの大家さんだったのだ。昔からある有名な店らいいのだが、実はそこで煎餅を買った事は一度もなかった。これも何かの縁だ。今度久しぶりに行ってみよう。
"Intuition" TNT
⇒中学生の頃良く聞いてた。今聞いてもキラキラしてる。