生気のない目
大きな船に乗っている。客船だ。
僕は知らない男と話している(便宜的にここではAとする)。
彼はそういう船に乗ったのが今回が初めての様子である。
船は停泊している。僕らは見学ツアーみたいなのに参加しているのだ。
A:部屋は一人部屋じゃないんだね
僕:一人部屋もあるけど、僕らみたいなのは3人とか4人とか一緒の部屋なんだよ
ふとTさんを見かけた。
彼女は何か僕をさけるかのようにさっと僕の視界から消えていった。
僕はその男と船内を歩き回っていた。
立ち入り禁止エリアに入ってみた時、大きなホールにたどり着いた。
ホール全体が汚れていてかび臭い。
天井から水漏れがして、床がヌメヌメとしていた。
Aは僕の先をどんどん歩いていく。探検しているかのようである。
そして彼は僕より先にそのホールの端にある比較的清潔で、やけに明るい部屋にたどり着いた。
テーブルの上に、白い大きな布に覆われた何かがある。
僕は遠目で布を剥ぎ取るAの姿を眺めていた。
そこに現れたのは余命はくばくもない、病気で手術を待つ一人の男であった。
煌煌と照らされたテーブルは手術台であったのだ。
そこに横たわったいた男はVanHalenの初代ボーカリスト、David Lee Rothであった。
すると奥から白衣に包まれたTさんが登場した。
どうやら彼女がデイブの手術を行うのだ。
デイブが近い将来に死ぬことは誰が見ても明らかである。
話を聞くとデイブとTさんは恋に落ちたのだが、
死ぬにあたって体の一部を保存することに合意したらしい。
彼女はデイブの「ケツあご」が好きで、それを取っておく手術なのである。
かつて"Diamond" Daveと言われた彼であったが、
その瞳に輝きを感じることが僕にはできなかった。